帰り道

1994/06/26 written by satoo


つかれきった帰り道

あたり前のものがあたり前に見えなくなる 

あたり前のことがあたり前に感じられなくなる


電車の中

長年つれそった老夫婦が

周り中にあったかさを

発していた


ホームの上

黒く消された線が 

コンクリートにまぎれようとしてた


きっと宙に顔をあげ

たいしたもんだと薄笑い


思い悩んだ帰り道

あたり前のものがあたり前に見えなくなる 

あたり前のことがあたり前に感じられなくなる 


通りのわき

中年の太った女性が

もうねようよと犬に語りかけていた


公衆電話で若いやせた男が

かくれるように長電話してた


きっと宙に顔をあげ

たいしたもんだと薄笑い